ニュース News

プレスリリース

2021年03月08日
株式会社第一興商

カラオケルーム・ビッグエコーの換気調査実施
■カラオケルーム内の空気は速い速度で外気と入れ替わる
■ルーム内に浮遊する粒子は速い速度で減少する
一般的な家庭やオフィスに比べ、換気性能が非常に高いことを実証

 株式会社第一興商は、一般社団法人クリーンエア*1(以下、クリーンエア)と慶應義塾大学(以下、慶應大学)理工学部 奥田知明教授の協力を得て、ビッグエコー浜松町駅前店における換気状況の調査を実施しました。その結果、ビッグエコーの換気性能は非常に高く、空気は速い速度で外気と入れ替わること、ルーム内に浮遊する粒子は速い速度で減少することが確認できましたのでお知らせします。

測定機材設置の様子(ルーム818)

ドライアイスによるCO2散布の様子(ルーム818)

1.背景

 政府の発表やメディアの報道で、“カラオケ店は換気の悪い密閉空間”といわれており、多くのカラオケユーザーが利用を控えている状況が続いています。ウイルスの感染予防において「換気」は空中に浮遊するウイルスを物理的に排除する有効な手段です。
 そこで当社は、カラオケルームの換気状態を科学的に検証する目的で、ビッグエコーにおける換気システムを調査*2しました。

2.調査概要

 2020年12月5日、慶應大学 理工学部 応用化学科 奥田知明教授のもと、ビッグエコー浜松町駅前店の3ルーム(818ルーム:最大定員数29名/室容積64.1㎥、823ルーム:最大定員数10名/室容積31.1㎥、820ルーム:最大定員数5名/室容積13.3㎥)にて、下記2通りの換気状況に関する調査を行いました。*2

  • 「室内CO2濃度計測」
     ルーム内の換気速度(外気の取り入れ速度)を調査。ドライアイス発生装置を用いてルーム内にCO2を大量に発生させる。換気設備および空調設備を稼働させて、CO2濃度の減衰を見るもの。

  • 「室内粒子濃度計測」
     ルーム内の換気回数(粒子の減少速度)を調査。ウイルスは粒子に付着した状態で空間中に浮遊していることを考慮し、スモーク発生装置を用いてルーム内にスモーク粒子を大量に発生させる。換気設備および空調設備を稼働させて、浮遊する粒子濃度の減衰を見るもの。

3.調査結果

  • 「室内CO2濃度測定」⇒ルーム内の空気は、速い速度で外気と入れ替わる
     ルーム内の空気がすべて外気と入れ替わるまでの時間*3は、 818ルーム/約10分42秒(換気回数5.6回/1h)、823ルーム/約8分27秒(換気回数7.1回/1h)、820ルーム/約7分35秒(換気回数7.9回/1h)となりました。これは、一般的な家庭やオフィスに比べて速い換気速度であるといえます。

  • 「室内粒子濃度測定」⇒ルーム内に浮遊する粒子は、速い速度で減少する
     ルーム内に粒子が浮遊している平均時間*4は、818ルーム/約1分間、823ルーム/約3分間、820ルーム/約28秒間となりました。また、外気の入れ替え時間よりも速い速度で粒子が減少したことから、店舗の空調配管系および各ルームのエアコンに設置されているフィルターが有効に機能していることも示されました。
     高濃度のウイルスを含む粒子が空間に滞留することによって発生すると考えられているエアロゾル感染(飛沫核感染)が起こるリスクは、これよりも換気速度が遅い一般家庭や一般的なオフィスなどと比較して低いと考えられます。*5

  • 入室人数をコントロールすることで、密閉空間に当たらない良好な換気状態を保てる
     換気状態に言及するには、「その空間に何人いるか」を含めて考えることが極めて重要です。換気回数が基準を満たしていても、その空間にいる人数が多くなると感染リスクは高まります。
     そこで、調査概要①「室内CO2濃度測定」から得た換気回数の実測値を使用し、厚生労働省が示すCO2濃度1,500ppm(学校保健法)および1人当たりの換気量30㎥/1h(空気調和・衛生工学会規格)を同時に満たす、各ルームの入室人数の上限値を推算*4しました。その結果、818ルームは11人(最大定員数29名)、823ルームは6人(最大定員数10名)、820ルームは3人(最大定員数5名)となりました。

ビッグエコー浜松町駅前店 換気状況調査結果

実験条件 CO2濃度計測の結果 粒子濃度計測の結果 CO2濃度計測の結果を活用
したシュミレーション
ルーム 最大
定員数
室容積 換気回数[1]
(実測値)
客室の空気が外気と
入れ替わる時間[2]
換気回数[3]
(実測値)
客室に粒子が
浮遊している時間[2]
入室の上限人数
(30㎥/h×人)[4]
818 29名 64.1㎥ 5.6回/1時間 約10分42秒 56.5回/1時間 約1分間 11人
(32.6㎥/h×人)
823 10名 31.1㎥ 7.1回/1時間 約8分27秒 20.5回/1時間 約3分間 6人
(36.8㎥/h×人)
820 5名 13.3㎥ 7.9回/1時間 約7分35秒 129.7回/1時間 約28秒間 3人
(35.0㎥/h×人)

【補足】

  1. (1)
    「換気回数」すなわち「対象空間と同容積の外気が配給されるのにかかる時間」を「客室の空気がすべて外気と入れ替わるまでの時間」と表現する。換気回数が毎時2回以下となったときに、結核とはしかの拡散に有意な関連があったという報告(Menzies et al. (2000), Bloch et al. (1985))がある。新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生した広州のレストランの調査((Li et al. (2020))では、店内 の換気回数は毎時 0.56-0.77回と極端に少なかったと報告している。
  2. (2)
    実測値よりJCAAが算出。
  3. (3)
    ここでいう換気回数とは、外気取り入れ量に加えてフィルターによる粒子低減効果を合わせて得られた、粒子を含む空気が清浄な(粒子を含まない)空気と入れ替わる回数をいう。
  4. (4)
    厚生労働省は、換気量が必要換気量「1人あたり毎時30㎥」を満たせば、「換気が悪い空間」に当てはまらないと発表している。

4.クリーンエアの見解

 今回の調査結果から、ビッグエコー浜松町駅前店のカラオケルームの換気性能は高いことが明らかとなりました。さらに、入室人数をコントロールすることで「1人当たり毎時30㎥以上の換気量」が保たれ、厚生労働省が示す「換気が悪い空間」すなわち「密閉空間」に当たらない良好な換気状態を維持できることが分かりました。良好な換気は、新型コロナウイルス感染症のリスク低減につながります。
 しかし、新型コロナウイルスの感染を防ぐためには換気対策に加えて、複数の対策を組み合わせる必要があります。今後は、良好な換気に加え、飛沫感染および接触感染に配慮した対策を科学的に検証・検討し、安全な場所を提供していくことが期待されます。

5.今後について

 ビッグエコーでは、安心・安全に店舗をご利用いただけるよう、清掃・除菌、ご利用人数の制限、従業員のマスク着用・手洗い・健康チェックなどの感染予防対策を引き続き徹底することで、万全の体制でお客さまをお迎えします。

  • *
    1 一般社団法人クリーンエアとは、呼吸器疾患の知識啓発と発生予防・治療法の開発を行う医学専門団体です。
  • *
    2 今回は浜松町駅前店で調査しましたが、建築物基準法により、全国のビッグエコーでは浜松町駅前店と同等の換気システムを設置しています。
  • *
    3 換気回数すなわち「対象空間と同容積の外気が供給されるのにかかる時間」を「ルーム内の空気がすべて入れ替わるまでの時間」と記載。
    なお、数値は実測値よりクリーンエアが算出。
  • *
    4 数値は実測値よりクリーンエアが算出。
  • *
    5 部屋の空気がすべて外気と入れ替わるまでの時間について、一般的な家庭は、建築物基準法で2時間よりも短いことを求めています(換気回数0.5回/h以上)。一般的なオフィス(1人当たり専有面積5m2/天井高さ2.8m)は、ビル管理法で約30分よりも短いことを求めています。
    (1人当たり30㎥/h)

■関連サイト

・ビッグエコー:
https://big-echo.jp/air_clean/
・クリーンエア:
https://cleanair.or.jp/
TOPに戻る